書名:高等魔術の教理と祭儀 教理篇

者:エリファス・レヴィ

定価:4200円 (本体価格4000円+税200円)
サイズ:A5判上製 280
ページ 初版刊行日1982年6月 第二版刊行日1994年1月
ISBN978-4-409-03022-6 (思想/神秘思想)

目次

序章

第一章 入門  教義の一致―魔術修行者に要求される諸資格
第二章 神殿の支柱 教義の基礎―二つの原理能動態と受動態
第三章 ソロモンの三角形 三つ組の普遍的神学―大宇宙
第四章 聖四文字(テトラグラムマ) 四つ組の魔術的効力―照応と適応―「カバラ」の要素霊
第五章 五芒星 小宇宙とその徴し―自然力を支配する力
第六章 魔術的均衡 意思の働き―作戦と抵抗―性愛ー充溢と空無
第七章 炎の剣 神聖なる王国(サンクトウム・レグヌム)―七天使と惑星の七精霊―七つ組の普遍的効力
第八章 実現 諸力の照応的再現―理念の具現―平行現象―必然的拮抗
第九章 秘法伝授 魔術のランプ、外套、杖―予言と直観―霊魂の群れに囲まれた中での秘法伝受者の安全と沈着―魔術力の行使
第十章 カバラ 「セフィロト」―「セムハムフォラス」―「タロット」―道と門、「べレジド」と「メルカヴァ」、「ゲマトリア」と「テムラ」
第十一章 魔術的鎖 磁気流―大成功の秘密―物言うテーブル―流体現出
第十二章 大作業 ヘルメスの魔術―ヘルメスの教義―ミネルヴァ・ムンディ―偉大なる唯一無二の「大竈」―吊し人
第十三章 降霊術 別世界の開示―死と生の秘密―招魂
第十四章 変成 狼狂―相互憑依、または魂の胚胎―キルケの杖―カリオストロの霊薬
第十五章 黒魔術 鬼神学―妄想―神経的病いの不思議―ルーダンのウルスラ童貞会修道尼とルーヴィエの尼僧―ゴーフリディとジラール神父―ユード・ド・M……の著書
第十六章 呪詛 危険な力―生殺与奪の能力―事実と法則―治療―パラケルススの実践
第十七章 占星術 生得の徴しに基づく人物識別―骨相学―手相術―観相術―惑星と星座―厄年―星の周期に基づく予言
第十八章 媚薬と呪い(まじない) 妖術師の薬物と契約―ナポリのjettature―邪視―迷信―護符
第十九章 賢者の石―エラガバルス この石とはいかなるものか―なに故に石か―異様な照応
第二十章 万能薬 黄金飲料による生命延長―復活説―苦痛の排除
第二十一章 予見 夢―夢中遊行―予感―透視力―予見の道具―アリエットのこと。「タロット」にかんする彼の発見
第二十二章 隠秘学総括 「カバラ」―魔術―錬金術―催眠術、すなわち魔術的医学

図版一覧解説
訳注


著者、訳者紹介

エリファス・レヴィ (Eliphas Levi)  1810‐75
フランスの神秘思想家。本名A.L.コンスタン(Alphonse Louis Constant)。西欧に伝わる魔術の基本、カバラ研究の権威であり、同時にまた実践者として〈魔道中興の祖〉と称される。パリで生まれ、 はじめ聖職を志して神学校に学び、卒業後助祭の地位にまで進んだが、神秘主義、社会主義に接近してしだいに正統的カトリシズムから遠ざかり、1844年に出版した著書《神の母》は教会から異端の書として糾弾された。45年には、ボードレールの同名の詩への影響が指摘される〈コレスポンダンス〉を含む詩集《三つの調和》を刊行している。46年、還俗して結婚生活に入るが 間もなく離婚。51年、長年取り組んできた《キリスト教文献事典》を中途で放棄して魔術研究に没入、同時にカバラへの帰依のしるしとして名前もヘブライ語化して、エリファス・レヴィと改める。《高等魔術の教理と祭儀》(1855−1856)に続いて、60年から65年にかけてその方面の研究成果を〈オカルト哲学叢書〉として次々と世に問い、代表的なものに《魔術の歴史》(1860)、《大 いなる神秘の鍵》(1861)などがある。死の直前、教会と和解したとも言われるが、その魔術関係の諸著作が19世紀後半以降のヨーロッパ異端思想や文学に与えた影響は甚大で、ボードレール、ヴィリエ・ド・リラダン、マラルメ、ランボー、W.B.イェーツ、ブルトン、バタイユらにインスピレーションを与えたほか、現代の思想・文学・芸術・にまで大きな影を投じている。

生田耕作(いくた・こうさく)
1924年生まれ。1950年京都大学仏文科卒。京都大学名誉教授。『るさんちまん』『ダンディズム――栄光と悲惨』『黒い文学館』の著書の他、マンディアルグ、バタイユ、ブルトン、セリーヌ、サンドラールなどの翻訳多数。


内容紹介

カバラ的、錬金術的、キリスト教的角度から、魔術の基本をなす原理と理論を解き明かした〈魔道中興の祖〉エリファス・レヴィ不朽の名著。

 近代思想について考察する場合、マルクスの『資本論』と並べてエリファス・レヴィの『高等魔術』を常にいま一方の極にすえて見つめる複眼的視点が、こんにち私たちには必要なのではなかろうか。前者が労働の福音書、〈団体〉の神話、光と進歩の思想の典型とすれば、後者は沈思の 予言書、〈個人〉の宗教、闇と遡行の思想の典型として、ともに均しい現実性を主張するにもかかわらず、〈光〉が〈闇〉を押しのけ、長い白昼のみが一方的に歪められた支配を続けてきたのが近代社会のたどった歴史といってよいだろう。しかし、こんにちの世界的なオカルト思想復興は、ようやく訪れた黄昏の始まり、『資本論』が『高等魔術』の暗闇の中へ没し去る前触れとも見れなくはないだろう。(生田耕作)

『高等魔術の教理と祭儀』は、理論を解説した『教理篇』、実践方法を解説した『祭儀篇』の二つに分かれている。本書『教理篇』では、カバラ的・錬金術的・キリスト教的角度から、魔術作業の根底に横たわる諸原理・諸理論を取り上げる。


オーダー

TOPへ