書名:吉野裕子全集 第1巻 著者:吉野裕子 定価:3150円
(本体価格3000円+税150円) |
目次 |
扇
は し が き
第一章 青島から沖縄へ :青島 那智大祭の馬扇 沖縄へ 沖縄の古老をたずねて 首里の鬼の話 斎場御嶽/第二章 踊
り と 扇:踊りのけいこ 茶室で 扇の謎 きっかけ 幸いの意味 踊りと扇 ウェルズ先生のこと/第三章 祭りのなかの扇:先学による扇の研究 我が道をゆく 生活と研究 神事を追って/第四章 扇の起源をさぐる:蒲葵と私 扇の起源についての諸説 扇の種類 蒲葵 蒲葵の模擬物、扇の出現 平城宮の扇 佐太神社の神扇 美保神社の扇 扇の謎をとく糸口をつかむ 摺りたたむ扇/第五章 御嶽と蒲葵:連想好き 沖縄の特殊な言葉について 御嶽と神社 ヲナリ神 人が神になること 御嶽のなり立ち 御嶽の構造 神木蒲葵 蒲葵の嶽名と神名 蒲葵と神事/第六章 神の顕現とは:海の彼方 「ニライカナイ」 古代人が考えた人間の誕生 古代人が考えた人間の死 古代人が考えた神の顕現 森のなかの祭り 巫女の祈り/第七章 大嘗祭の蒲葵:大嘗祭 百子帳 河原の御禊地 河原の頓宮 御禊の行幸 戸座について 御禊と神霊 東方の重視 東西の意識 天皇と百子帳 戸座と百子帳 戸座の役目/第八章 ミ
テ グ ラ:「クラ」という言葉 クラのいろいろ ミテグラについて ミテグラの意味 「ミテグラ」としての扇 再び踊りと扇について/第九章 扇と神事の解釈:扇の神事の分類 扇をご神体とする神事 扇が重要な祭具となる場合 扇を「さしは」として立てる神事 扇の神事間にある共通性/第十章 沖縄石垣の豊年祭:オンプウリ マイツバ御嶽の豊年祭 女綱
お わ り に
祭りの原理
は じ め に
第一章 蒲 葵:一 日本の祭りの本質 二 御嶽の神木蒲葵 三 扇 の
祖 四 沖縄の古老を訪ねて 五 御嶽と蒲葵 六 御嶽の構造 七 種神、蒲葵/第二章 産 屋――古代日本人における生誕の原理――:一 人間生誕の原理 二 沖縄における出産儀礼 三 産屋の秘密 四 第一次誕生儀礼群 五 第二次誕生儀礼群/第三章 喪 屋――古代日本人における死の原理――:一 「死」の原理 二 沖縄の葬礼 三 岩戸がくれの意味するもの 四 破壊される喪屋/第四章 蛇――古代日本人における性――:一 男祖先神としての蛇 二 女祖先神としての蛇 三 結 び/第五章 箒神――ハハキ考――:一 「ハハ」と「ハハキ」 二 ハ
ハ キ 持 三 ハ ハ キ 神 四 ハハキノ国(伯耆国) 五 玉 箒/第六章 山 の 神:一 山と山の神 二 陰陽五行と呪術 三 日本原始信仰と陰陽五行 四 信仰軸の推移 五 陽曲線と陰曲線 六 山の神信仰 七 山の神と箒神 八 結 び/第七章 神
迎 え:一 古代信仰の原理 二 原理の変化――神殿の建立―― 三 祭りの二重性 四 古代信仰原理の痕跡 五 沖縄の祭りにみる信仰の原理――宮古島の祖神祭り 六 オ
ハ ケ 考 七 本土の祭りに残る信仰の原理 八 沖縄と本土との神迎えの比較/第八章 神 送 り:一 神送りの意義 二 妣の国出雲 三 佐太神社の神送り神事カラサデ 四 サギチョウ 五 海神祭
り 六 神迎えと神送り 補足 神送りにみられる性の呪術/第九章 勾 玉 考――三種の神器――:一 序 説 二 勾玉の修飾語「ミスマル」について 三 勾玉の本質 四 胎児と勾玉との形状における相似 五 出雲国造神賀詞奏上と勾玉 六 大
殿 祭と勾玉 七 胎児造型の必然性=勾玉/第十章 古代日本人における世界像と現世生活像:一 古代日本人の特質 二 海の彼方――ニライカナイ―― 三 古代日本人における世界像 四 古代日本人における世界像と現世生活像 五 世界像の考察 六 現世生活像の考察 七 再び家について
索 引
易・陰陽五行の中国哲理の深い解釈から、わが国の祭り、習俗の数々の謎を解き明かし、日本民俗学に風穴をあけた吉野裕子の著作を年代順に網羅した待望の全集!
第一巻は『扇』と『祭りの原理』を収める。『扇』は、日本の生活と文化の中にいまなお実用的にもまた象徴物としても重要な役割を果たしている扇をめぐって、その起源の秘密に近づくことで日本人の性と古代信仰の世界に行き着く著者の出世作。『祭りの原理』はその問題意識を発展させ、沖縄の御嶽、古代の産屋と喪屋、蛇と箒神、山の神、神迎えと神送り、勾玉考など、古代信仰にかかわる様々な局面を独自の「性」の視点で切り開いた意欲作。