書名:吉野裕子全集 第5巻 全12巻 編者: 吉野裕子 定価:3150円
(本体価格3000円+税150円) |
目次 |
日本人の死生観
序/第一章 日本人の蛇信仰:人間と蛇 世界の民族における蛇信仰 日本における蛇信仰の発展 樹木と蛇 山と蛇 家屋と蛇 蛇の古名――神は蛇カ身ミか 日本人の死生観へ/第二章 産 屋――蛇から人へ――:神話にあらわれる産屋 神話の産屋を考える 産屋の特質 産屋私見 蛇から人へ ボロをまとう新生児 蛇から人への変身呪術――三日衣装
二種類の産衣 ボロと晴着の意味するもの 南西諸島の満産行事 蟹と蛇 カカン ヒアケ カンダチイハヒとカミタレ 変身の成就 鉄か漿ねつけ・菖蒲湯の民俗と蛇/第三章 喪 屋――人から蛇へ――:喪屋と殯 なぜ喪屋が作られるのか 「モガリ」の意味 浄化される死者 非情の宗教行事として 骨ふに神しん 四十九日餅 葬いと歌舞 破壊される喪屋
喪屋の位置 死衣考 葬送人と白布 葬送の民俗から 仏の正月/第四章 箒神と荒神:変身の呪物としての箒神 生と箒 古典に登場する箒 死と箒 葬列のなかの箒と蛇 伊勢神宮のハハキ神 箒と蒲葵 朴の木――生死往来の呪物他界の主としての荒神 アラハバキ・門客人社・荒神社 アラハバキから荒神へ ニソの杜 他界としての荒神の森 荒神と出産・新生児・子供 荒神神楽 荒神神楽の要点 松の能 箒神と荒神と他界と/第五章 他界と方位――出雲と伊勢――:太陽と蛇 陰陽二元と出雲 イザナミの死と変身 光の源泉としての蛇の目 タケミカツチの本質 イザナミと蛇――比婆山の蛇伝承から 佐太神社の古伝祭 イザナミの命の死と蛇 事代主命の死 古伝祭・青柴垣神事 鎮祭の成就
他界としての紀州熊野 熊野の位置 東方神界・伊勢 伊勢大神の実像 幡皇女伝承 聖地伊勢の原型/第六章 古代日本人の死生観:古代日本人と他界 足名椎・手名椎 櫛名田姫の実像 スサノオノ命の結婚 ニニギノ命と木花咲耶姫の結婚 「生」と結合する海中他界 「生」と結合する地底他界 現世にもちこまれている他界 真正の他界の主 世界蛇ナーガ 古代日本人の死生観 ケ・ケガレ・ミソギ・ハラヒ・ハレ私見 真正の宗教行事として あ
と が き
陰陽五行と日本の民俗
序/第一章 陰陽五行思想の概要:第一節 は じ め に 一 中国創世記と日本神話 二 陰陽五行思想の渡来とその推移 三 陰陽五行と現代/第二節 陰陽五行思想の概要 一 五 行 二 十 干 三 十
二 支 四 九 星 五 易/第二章 陰陽五行と迎春呪術 は じ め に 第一節 迎春呪術分類表/第二節 古代中国人の四季推移に対する意識 一 金気剋殺としての犬の磔はりつけ 二 犬の磔の日本における受入れ方/第三節 日本における金気剋殺の種々相 一 餅 犬 二 鳥
追 い 三 日にっ光こう強ごう飯はん式しき 四 豆 腐 祭
り 五 節分の豆撒き 六 シモツカレ/第四節 日本における水気追放の種々相 一 蟹の串刺し 二 諏訪神社の蛙(蝦蟇)狩神事 三 柊 と 鰯 四 川
渡 り 餅 五 鬼 の 的 六 鬼 木/第五節 中国周辺諸国における迎春呪術 一 韓国の迎春呪術 二 メオ族の迎春呪術 お わ り
に/第三章 陰陽五行と防災呪術:第一節 対 震 呪 術 はじめに 列島の地震災害 一 地 震 と 鯰 二 中国におけるナマズ 三 鯰 の 解
字 四 鯰 の
形 五 土気の精としての鯰 六 具体化される地震対策 七 鯰の両義性と陰陽五行 八 陰陽五行における地震の本質 九 地震は「木気」 十 鹿島大神は地震神 十一 要石の権威 十二 問題の整理 十三 鹿島神の本質 十四 蛇から鯰へ――鯰絵の謎をとく む
す び/第二節 対 雷 呪
術 一 日本人の雷観 二 雷除けとしての鍬(木ささげ・ひさぎ) 三 金属による雷除けの諸例 四 雷除けとしての赤・赤蜀黍・節分の豆/第三節 防 火 呪
術 一 正 月 と 猿 二 寅・申について 三 正 月 と
馬/第四節 対洪水呪術――野田・三つ堀香取神社の泥祭りを中心に―― 一 泥祭りの概略 二 泥祭りの要点 三 泥祭りの意味 四 土気のご神体(廃材がご神体となること)/第五節 対
風 呪 術 一 対風呪術資料 二 対風呪術の特殊性 三 対風呪術資料の考察/第四章 陰陽五行とくらしの民俗:第一節 正 月 と 盆 は じ め
に 一 寅・申の対立 二 対立と転換(子午軸の重要性) 三 民俗における寅申軸の優越性 四 火と水のバランス(日照・降雨に還元される火と水) 五 古代中国の宗廟祭祀 六 盆
の 考 察 七 呪術の細分化 お わ り に/第二節 山の神と田の神――三合の理と作神の輪廻―― 一 山の神としての「猪」 二 亥 の 神 三 山 の
神 四 田 の 神 五 サ ノ ボ
リ 六 作神としての亥の神・山の神・田の神 七 「木気三合の理」による作神の輪廻 八 十二山の神/第三節 「亥子突き」考は じ め
に 一 「亥子突き」資料 二 「亥子突き」の特質 三 「亥子突き」の実相 四 「亥子突き」の考察/第四節 色彩の呪術 一 陰陽五行における色彩の象徴性 二 日本古代呪術・青和幣と白和幣 三 白色の呪術 四 黄色及び赤色の呪術(稲荷信仰と黄色) 五 黒色の呪術/第五節 死
屍 呪 物 は じ め に 一 漁撈・航海者における死屍(土左衛門) 二 鈩たた師らしにおける死屍 三 陰陽五行による謎の解明 四 考 察/第六節 長
寿 呪
術 一 初酉の高山登り 二 沖縄宮古島砂川うるかの旧三月新酉の神事(ナーバイ)/第七節 「桃太郎」と「河童」 一 お伽話・桃太郎 二 水の妖怪・河童 三 馬
の 民 俗/第五章 『易』と日本の民俗:は じ め に/第一節 十一月(子月) 和名 霜月(しもつき) 一 一 陽 来
復 二 践祚大嘗祭・新嘗祭・霜月祭 三 冬至の南瓜/第二節 十二月(丑月) 和名 師走(しはす) 一 「師走」考 二 庭釜にわかまど・トシコシトンド/第三節 一月(寅月) 和名 睦
月(むつき) 一 門 松 二 「睦月」考/第四節 二月(卯月) 和名 如月(きさらぎ) 一 祈
年 祭/第五節 三月(辰月) 和名 弥生(やよい) 一 流 し 雛 二 浜はま 下お
り/第六節 四月(巳月) 和名 卯月(うづき) 一 「うづき」考 二 天道花・高山遊び/第七節 五月(午月) 和名 皐
月(さつき) 一 女の家・女の宿・女天下 二 雛
女 祭
り/第八節 六月(未月) 和名 水無月(みなつき) 一 「水無月」考 二 土用丑日の鰻の推理/第九節 七月(申月) 和名 文月
(ふづき)/第十節 八月(酉月) 和名 葉月(はづき) 一 八朔・田の実節供 二 八月十五日の月見 三 韓国の仲秋佳節・嘉俳日 四 韓国と日本の意識の差/第十一節 九月(戌月) 和名 長月
(ながつき) 一 重陽ちょうよう 九月九日/第十二節 十月(亥月) 和名 神無月(かんなづき) 一 「神無月」考 二 亥
子 突 き お わ り に
『陰陽五行と日本の民俗』所収論考初出発表誌・書目一覧表
索 引
祖霊信仰と民俗理解に意外かつユニークな地平を切り拓く
生と死の儀礼・民俗を通して日本人の「祖霊=蛇」信仰の視座を確立した著作『日本人の死生観──蛇 転生する祖先神』(1982年)と、土用の鰻、節分の豆撒き、鳥追いや泥祭など、暮らしの隅々に意外なかたちで息づいている易・五行思想を鮮やかに論証した『陰陽五行と日本の民俗』(1983年)を収める。