書名:吉野裕子全集 第5巻   全12巻

者: 吉野裕子

定価:3150円 (本体価格3000円+税150円)
サイズ:A5判上製 376
ページ 刊行日2007年7月 
ISBN978-4-409-54992-6 (教養書/民俗学)

目次

日本人の死生観
序/第一章 日本人の蛇信仰人間と蛇  世界の民族における蛇信仰  日本における蛇信仰の発展  樹木と蛇  山と蛇  家屋と蛇  蛇の古名――神は蛇カ身ミか  日本人の死生観へ/第二章 産 屋――蛇から人へ――:神話にあらわれる産屋  神話の産屋を考える  産屋の特質  産屋私見  蛇から人へ  ボロをまとう新生児  蛇から人への変身呪術――三日衣装   二種類の産衣  ボロと晴着の意味するもの  南西諸島の満産行事  蟹と蛇  カカン  ヒアケ  カンダチイハヒとカミタレ  変身の成就  鉄か漿ねつけ・菖蒲湯の民俗と蛇/第三章 喪 屋――人から蛇へ――:喪屋と殯  なぜ喪屋が作られるのか  「モガリ」の意味  浄化される死者  非情の宗教行事として  骨ふに神しん  四十九日餅  葬いと歌舞  破壊される喪屋  喪屋の位置  死衣考  葬送人と白布  葬送の民俗から  仏の正月/第四章 箒神と荒神:変身の呪物としての箒神  生と箒  古典に登場する箒  死と箒  葬列のなかの箒と蛇  伊勢神宮のハハキ神  箒と蒲葵  朴の木――生死往来の呪物他界の主としての荒神  アラハバキ・門客人社・荒神社  アラハバキから荒神へ  ニソの杜  他界としての荒神の森  荒神と出産・新生児・子供  荒神神楽  荒神神楽の要点  松の能  箒神と荒神と他界と/第五章 他界と方位――出雲と伊勢――:太陽と蛇  陰陽二元と出雲  イザナミの死と変身  光の源泉としての蛇の目  タケミカツチの本質  イザナミと蛇――比婆山の蛇伝承から  佐太神社の古伝祭  イザナミの命の死と蛇  事代主命の死  古伝祭・青柴垣神事  鎮祭の成就   他界としての紀州熊野  熊野の位置  東方神界・伊勢  伊勢大神の実像  幡皇女伝承  聖地伊勢の原型/第六章 古代日本人の死生観:古代日本人と他界  足名椎・手名椎  櫛名田姫の実像  スサノオノ命の結婚  ニニギノ命と木花咲耶姫の結婚  「生」と結合する海中他界  「生」と結合する地底他界  現世にもちこまれている他界  真正の他界の主  世界蛇ナーガ  古代日本人の死生観  ケ・ケガレ・ミソギ・ハラヒ・ハレ私見  真正の宗教行事として  あ と が き
 

陰陽五行と日本の民俗
序/第一章 陰陽五行思想の概要:第一節 は じ め に  一 中国創世記と日本神話  二 陰陽五行思想の渡来とその推移  三 陰陽五行と現代/第二節 陰陽五行思想の概要  一 五 行  二 十 干  三 十 二 支  四 九 星  五 易/第二章 陰陽五行と迎春呪術  は じ め に  第一節 迎春呪術分類表/第二節 古代中国人の四季推移に対する意識  一 金気剋殺としての犬の磔はりつけ  二 犬の磔の日本における受入れ方/第三節 日本における金気剋殺の種々相  一 餅 犬  二 鳥 追 い  三 日にっ光こう強ごう飯はん式しき  四 豆 腐 祭 り  五 節分の豆撒き  六 シモツカレ/第四節 日本における水気追放の種々相  一 蟹の串刺し  二 諏訪神社の蛙(蝦蟇)狩神事  三 柊 と 鰯  四 川 渡 り 餅  五 鬼 の 的  六 鬼 木/第五節 中国周辺諸国における迎春呪術  一 韓国の迎春呪術  二 メオ族の迎春呪術  お わ り に/第三章 陰陽五行と防災呪術:第一節 対 震 呪 術  はじめに 列島の地震災害  一 地 震 と 鯰  二 中国におけるナマズ  三 鯰 の 解 字  四 鯰 の 形  五 土気の精としての鯰  六 具体化される地震対策  七 鯰の両義性と陰陽五行  八 陰陽五行における地震の本質  九 地震は「木気」  十 鹿島大神は地震神  十一 要石の権威  十二 問題の整理  十三 鹿島神の本質  十四 蛇から鯰へ――鯰絵の謎をとく  む す び/第二節 対 雷 呪 術  一 日本人の雷観  二 雷除けとしての鍬(木ささげ・ひさぎ)  三 金属による雷除けの諸例  四 雷除けとしての赤・赤蜀黍・節分の豆/第三節 防 火 呪 術  一 正 月 と 猿  二 寅・申について  三 正 月 と 馬/第四節 対洪水呪術――野田・三つ堀香取神社の泥祭りを中心に――  一 泥祭りの概略  二 泥祭りの要点  三 泥祭りの意味  四 土気のご神体(廃材がご神体となること)/第五節 対 風 呪 術  一 対風呪術資料  二 対風呪術の特殊性  三 対風呪術資料の考察/第四章 陰陽五行とくらしの民俗:第一節 正 月 と 盆  は じ め に  一 寅・申の対立  二 対立と転換(子午軸の重要性)  三 民俗における寅申軸の優越性  四 火と水のバランス(日照・降雨に還元される火と水)  五 古代中国の宗廟祭祀  六 盆 の 考 察  七 呪術の細分化 お わ り に/第二節 山の神と田の神――三合の理と作神の輪廻――  一 山の神としての「猪」  二 亥 の 神  三 山 の 神  四 田 の 神  五 サ ノ ボ リ  六 作神としての亥の神・山の神・田の神  七 「木気三合の理」による作神の輪廻  八 十二山の神/第三節 「亥子突き」考は じ め に  一 「亥子突き」資料  二 「亥子突き」の特質  三 「亥子突き」の実相  四 「亥子突き」の考察/第四節 色彩の呪術  一 陰陽五行における色彩の象徴性  二 日本古代呪術・青和幣と白和幣  三 白色の呪術  四 黄色及び赤色の呪術(稲荷信仰と黄色)  五 黒色の呪術/第五節 死 屍 呪 物  は じ め に  一 漁撈・航海者における死屍(土左衛門)  二 鈩たた師らしにおける死屍  三 陰陽五行による謎の解明  四 考 察/第六節 長 寿 呪 術  一 初酉の高山登り  二 沖縄宮古島砂川うるかの旧三月新酉の神事(ナーバイ)/第七節 「桃太郎」と「河童」  一 お伽話・桃太郎  二 水の妖怪・河童  三 馬 の 民 俗/第五章 『易』と日本の民俗:は じ め に/第一節 十一月(子月) 和名 霜月(しもつき)  一 一 陽 来 復  二 践祚大嘗祭・新嘗祭・霜月祭  三 冬至の南瓜/第二節 十二月(丑月) 和名 師走(しはす)  一 「師走」考  二 庭釜にわかまど・トシコシトンド/第三節 一月(寅月) 和名 睦 月(むつき)  一 門 松  二 「睦月」考/第四節 二月(卯月) 和名 如月(きさらぎ)  一 祈 年 祭/第五節 三月(辰月) 和名 弥生(やよい)  一 流 し 雛  二 浜はま 下お り/第六節 四月(巳月) 和名 卯月(うづき)  一 「うづき」考  二 天道花・高山遊び/第七節 五月(午月) 和名 皐 月(さつき)  一 女の家・女の宿・女天下  二 雛 女 祭 り/第八節 六月(未月) 和名 水無月(みなつき)  一 「水無月」考  二 土用丑日の鰻の推理/第九節 七月(申月) 和名 文月 (ふづき)/第十節 八月(酉月) 和名 葉月(はづき)  一 八朔・田の実節供  二 八月十五日の月見  三 韓国の仲秋佳節・嘉俳日  四 韓国と日本の意識の差/第十一節 九月(戌月) 和名 長月 (ながつき)  一 重陽ちょうよう 九月九日/第十二節 十月(亥月) 和名 神無月(かんなづき)  一 「神無月」考  二 亥 子 突 き  お わ り に

『陰陽五行と日本の民俗』所収論考初出発表誌・書目一覧表
索 引


祖霊信仰と民俗理解に意外かつユニークな地平を切り拓く

生と死の儀礼・民俗を通して日本人の「祖霊=蛇」信仰の視座を確立した著作『日本人の死生観──蛇 転生する祖先神』1982年)と、土用の鰻、節分の豆撒き、鳥追いや泥祭など、暮らしの隅々に意外なかたちで息づいている易・五行思想を鮮やかに論証した『陰陽五行と日本の民俗』1983年)を収める。


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