書名:中国・開封のユダヤ人 著者:小岸 昭 定価:2940円
(本体価格円+税円) |
目次 |
まえがき
第一章 開封のユダヤ人街を訪ねて:「開封のユダヤ人」を知ることになった経緯/上海社会科学院の潘光教授を訪ねて/シナゴーグの古井戸/「聖水」を汲む
第二章 開封のユダヤ人とイエズス会宣教師の歴史的な出会い:開封のユダヤ人艾田(がいでん)/北京在住のイエズス会宣教師マッテオ・リッチ/中国のユダヤ教徒とイエズス会宣教師はいかに互いに理解し合ったか/開封ユダヤ人「発見」後のイエズス会の動き
第三章 ゴザニの手紙:一七〇四年一一月五日付、開封発信、イユズス会宣教師ジャン=パウル・ゴザニのイエズス会宣教師ジョゼー・スワレス宛書簡/ゴザニの手紙から見た開封のユダヤ人共同体の歴史と当時の状況(1 ユダヤ人はいつ頃中国にやって来たか 2 ユダヤ人はどのように開封に定住し、どのような漢族姓を名乗ったか 3 中国において開封ユダヤ人の宗教はどのような名で呼ばれていたか 4 ゴザニはどのように開封のユダヤ人に迎えられ、またどのようにシナゴーグの奥まで案内されたか 5 ゴザニはシナゴーグの中央で何を見たか 6 開封のユダヤ人は中国人社会にいかに同化し、その中でいかに教(ジアオ)の伝統を子孫に伝えたか 7 ユダヤ教とキリスト教はどのように異なつているか)
第四章 石は語る:開封への初めての旅/一四八九年の碑文「重建清眞寺記」/一四八九年の碑文「重建清眞寺記」解説/一五一二年の碑文「尊崇道経寺記」/一五一二年の碑文「尊崇道経寺記」解説/一六六三年の碑文「重建清眞寺記」/一六六三年の碑文「重建清眞寺記」解説
第五章 開封のユダヤ人共同体の崩壊
第六章 開封のユダヤ人末裔の現状:一九四〇年の開封のユダヤ人共同体/蔡庄の「金氏家族譜系」/開封のユダヤ人末裔の生き方(1 イスラエルへ留学した石磊の場合 2 中国に生き続けることを選択した張輿旺の場合 3 イスラエル移住を選択したLの場合)
第七章 二〇〇六年三月、開封への最後の旅:出発まで/鄶州から開封へ――あるいは二人の石磊/開封の石磊/金兄弟の選択
あとがき
著者・内容紹介 |
小岸 昭 こぎし・あきら
1937年北海道生まれ。1963年京箭大学文学部独文科修士課程修了。1965年日本ゲーテ賞受賞。1966〜68年フランクフルト大学へ留学。2001年京都大学総合人間学部定年退職。現在北港道江別市在住。ドイツ文学専攻。ユダヤ思想研究を軸として,スペイン,ポルトガル,インド,イスラエル,ブラジル,中国などを流し,デイアスポラ・ユダヤ人の足跡を追究している。1995年「日本・ユダヤ文化研究会」創設(禅戸)。2001年「ブレーメン館」創設(札幌)。
著書:『欲望する映像」(駸々堂)、『カフカの解読』(共著,駸々堂)、『スペインを追われたユダヤ人』(人文書院,ちくま学芸文庫)『マラーノの系譜』(みすず書房)、『十字架とダビデの星」(NHK出版)、『離散するユダヤ人」(岩波新書)、『世俗宗教としてのナチズム」(ちくま新書)、『ファシズムの想像力』(共著,人文書院)、『隠れユダヤ教徒と隠れキリシタン』(人文書院)、『「赤い家」物語』(思潮社)、『インド・ユダヤ人の光と闇』(徳永恂と共著,新曜社)
訳書:ゲーテ『文学論』(潮出版社)、ショーレム『カバラとその象徴的表現』(岡部仁と共訳,法政大学出版局)、デッシヤー『水晶の夜」(人文書院、品切)、ヨベル『スピノザ 異端の系譜』(共訳,人文書院、品切)
中国で千年生き続けたユダヤ人の物語
黄河南岸の古都開封(かいほう)の旧ユダヤ人街「南教経胡同」から物語は始まる。ヨーロッパの周辺から彷徨って来て、この地に定住を許されたユダヤ人共同体の興隆と衰退の歴史を、石碑と文献と旅の経験から読み解いた、著者渾身の作。ここに開封ユダヤ人の千年にわたる集合的記憶が甦る!