書名:肖像の眼差し 著者:ジャン=リュック・ナンシー 定価:2520円
(本体価格2400円+税120円) |
目次 |
自律的肖像/ルサンブランス/召喚/眼差し 原註/訳注/図欄一覧 |
著者・内容紹介 |
著者 Jean-Luc Nancy (ジャン=リュック・ナンシー)
1940年生。ストラスブール大学教授。哲学。
主著:『エゴ・スム』、(1979)、『声の分割』(1982)、『定言命法』(1983)、『無為の共同体』(1986)、『神的な様々の場』(1987)、『自由の経験』(1988)、『有限な思考』(1990)、『共同‐体(コルプス)』(1992)、『複数的単独者』(1996)、『ヘーゲル、否定的なものの不安』(1997)、『侵入者』(2000)、『性関係の〈イリヤ〉』(2001)、『訪問』(2001)、『映画の明白さについて(2001)、『世界の創造 あるいは世界化』(2002)、『イメージの奥底にて』(2003)など。
訳者 岡田温司 おかだ あつし
1954年生。京都大学教授。西洋美術史。
著書:『もうひとつのルネサンス』(品切)、『ルネサンスの美人論』、『カラバッジョ鑑』(編著)、『モランディとその時代』(以上、人文書院)、『ミメーシスを超えて』(勁草書房)、ロンギ『芸術論叢』全2巻(監訳、中央公論美術出版)、アガンベン『中味のない人間』(共訳、人文書院)、同『開かれ』(共訳、平凡社)、同『スタンツェ』、ペルニオーラ『エニグマ』(以上、ありな書房)など。
長友の文史 ながとも のりふみ
1976年生。京都大学大学院・環境学研究科博士課程在籍。美学。「反復・断片・マチエール――ジョルジュ・もランディの静物画の論理」など。
哲学者ナンシーによるイメージ原論にしてナンシー哲学の入門書
ナンシーにとって肖像画とは、絵画の一ジャンルというよりはまさに絵画そのものに等しいが、それはそのまま哲学史に関わる主体=主題の存在論的な規定と直結している。かくして、かつてデカルト的主体の成立を問い直した『エゴ・スム』以来の哲学的な作業が、ここでは15世紀以降の肖像画の展開に重ね合わされ、検討されることになる。加えて本書は、イメージの存在論的考察の系、他者の顔と倫理の系、共同性の探求の系、そして主体=主題の系、等々のナンシー哲学の恰好の絵解きともなっている。近年の彼の関心に呼応して、ヘーゲルの弁証法と芸術終焉論との読み直しもされている。