書名:ニグロ、ダンス、抵抗
      ――17〜19世紀カリブ海地域奴隷制史

著者:ガブリエル・アンチオープ
訳者:石塚道子

価格:2700円
サイズ
 A5 並製 刊行日 2001年7月4日 
ISBN4-409-
03062‐0 (専門/カルチュラル・スタディーズ・歴史)

内容紹介欄

 

目次

 

資本主義と奴隷制、そしてダンス(川北稔)
日本語版の読者へ

序論

第一部 カリブ海地域のエスニックな構成要素
 第一章 カリ

  ヨーロッパ、征服とジェノサイド/カリブ黒人/「インディアン」のダンス、音楽――否定的なイメージの必要性
 第ニ章 ヨーロッパ系人
  始り――契約移民「アンガジュ」/女性たち
 第三章 アフリカ系人
  誘拐/エスニックな起源/エスニシティと文化

第ニ部 ヨーロッパと植民地、そして「奴隷像」の形成
 第一章 ヨーロッパ人と黒人
  
神話の終焉/黒人の「ニグロ化」/肌の色、ひとつの難問/十九世紀、人種差別主義の絶頂期/本国、本国人と黒人
 第ニ章 植民地、「黒人」か「ニグロ」か
  ニグロとは何者か/ニグロの「負」の評価とその必要性/ニグロ女性/ニグロとセクシュアリティ/ニグロという
表象の過去と現在
 第三章 ニグロのダンスのイメージ
  画像の影響力/ニグロ、音楽狂/ニグロ、「ダンス狂」/年代誌家たちの言説とニグロのダンス/ニグロのダンスについての現代の認識

第三部 カリブ海地域の奴隷制社会
 第一章 「人種」的混淆
  女性人口の欠乏か道徳的退廃か/性と権力/白人女性とニグロ男性/混淆婚、法、制裁/カリブ海地域人口の遺伝学的種属名称
 第二章 社会的分化と社会的緊張
  肌の色――分類用語/植民者、白人、ヨーロッパ人/非白人の自由民/ニグロ
 第三章 体制の錯乱 
  プランテーション/処罰/文化的抑圧と弾圧――禁じられた人々

第四部 奴隷とダンス
 第一章 奴隷の生きられた空間におけるダンス
  演奏者・踊り手としてのニグロ/ダンスとその経済効果/娯楽としてのダンス/ダンスと社会統制/ダンス――再創造と創造/ダンスと奴隷制主義者の言説
 第二章 抵抗としてのダンス
  研究者の視点と奴隷の抵抗/受動的抵抗と能動的抵抗/奴隷の逃亡、自由、罰/逃亡奴隷の数/逃亡と共謀者/奴隷階級におけ逃亡の全体像/多様な抵抗の形態/ダンス――もうひとつの逃亡のかたち

終論

註/訳者あとがき/主要文献


訳者・内容紹介

著者:ガブリエル・アンチオープ
1947年生。モスクワ、パリ大学に学ぶ。歴史学博士(カリブ海地域史専攻)。
著書:『<複数文化>のために』(共著、人文書院、1998)など。

訳者:石塚道子 いしづか みちこ
1946年生。お茶の水女子大学教員。カリ海地域研究専攻。
著書:『カリブ海世界』(編著、世界思想社、1991)、『民族の出会うかたち』(共著、朝日新聞社、1994)、『地域文化を生きる』(共著、大明堂、1997)、『<複数文化>のために』(共著、人文書院、1998)、『第三世界を描く地誌』(共著、古今書院、2000)、『アメリカの多民族体制』(共著、東京大学出版会、2000)。


「問題はニグロなのだ」という挑発的な一文から始る本書は、「奴隷のダンス」という身体表現行為に着眼して著された、きわめてユニークな奴隷制期カリ ブ海地域史である。S・ホールのように、奴隷制プランテーションを、生産様式の関係性だけでなく、イデオロギーの次元の関わりをも重視しながら描き出す。奴隷制植民地についてのこれまでの歴史観を奴隷の側から転覆し、ヨーロッパ中心主義的な世界史の書換えをも突きつける。好評 既刊書『<複数文化>のために――ポストコロニアリズムとクレオール性の現在』の続編。序文は川北稔氏。


オーダー

 

関連書『(複数分化)のために』『文化解体の想像力』『パフォーマンス研究』
     『植民地研究』『近代世界と奴隷制』『叢書:文化研究1 民族誌的近代への介入』
     『叢書:文化研究2 異種混淆の近代と人類学』