書名:
ヨーロッパ統合のゆくえ
    民族・地域・国家

編者:宮島喬/羽場久

価格:2200円
サイズ 四六判並製
  296ページ 刊行日2001年9月 
ISBN4-409-23035-2 (専門/民族・地域研究)

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目次
序・ヨーロッパの拡大において問われているもの  宮島 喬/羽場久
統合の運動の到達点――半世紀を経て/中・東欧の変動の10年――ヨーロッパ拡大の前提/何のための変化か――EU内の確執/統合の拡大とその問題点――中・東欧の求めるもの、 齟齬と課題/「来たる一〇年」を展望して

T EUの拡大とヨーロッパの再編成  
ヨーロッパ統合の組織的変遷と次期拡大  若林 広
にめに/ヨーロッパ統合の組織的変遷の挑戦/EUの次期拡大のヨーロッパ統合制度への特徴/機構改革交渉の合意点と評価/おわりに
EU・NATOの拡大と中欧――「境界線上」の民族――  羽場久
どこまでがヨーロッパか:「境界線上」の民族/EU・NATOの拡大一〇年/拡大に際しての問題点とコソヴォ空爆/「境界線上」の民族/ロシアの位置:「境界線」の外で/おわりに――二一世紀の展望
統合の深化と地域・民族問題――東方への拡大を踏まえて――  宮島 喬
ヨーロッパデモクラシーと人権の論理/国民国家の相対化と「地域」の概念/アイデンティティの四層構造へ/「国民国家」指向の惹起するもの/ナショナリズムとマイノリティ保護のはざまで/EU 接近のパラドックス/共通課題としてのロマ保護/移民問題が提起するもの/おわりに

U ヨーロッパ統合の深化と課題 
ヨーロッパ統合とイギリス――イングランドにおける地域制度の成立――  若松邦弘
地域制度の改革/EUとイギリスの行政・自治モデル/地域制度確立の過程/EUの影響/おわりに――イングランドの地域をめぐる力学
EUと移民政策――「社会的ヨーロッパ」構築の過程とアクターの変遷  稲葉奈々子
「社会的ヨーロッパ」の希求/移民政策の変遷/EUの意思決定回路とアクター/国境を越える市民権構築の試み
地域的言語文化の新たな広がり  原 聖
はじめに/欧州レベルでの地域交流運動/地域的言語文化の振興/おわりに

V 中・東欧にける進路の模索
ヨーロッパ統合とポーランド  小森田秋夫
政治エリートのコモンセンスと社会の不安/ヨーロッパ統合の四つの次元とポーランド/あるべきヨーロッパと現実のヨーロッパ/競争のヨーロッパと連帯のヨーロッパ/低くなる国境・高くなる国境
ヨーロッパ統合とバルカン――自立的な地域協力の可能性――  柴 宣弘
はにめに/「もう一つのヨーロッパ」の政治的変化/バルカンのさまざまな地域協力/南東欧安定協定とバルカン地域協力
ヨーロッパ統合とバルト三国――ヨーロッパ周辺地域の自立への模索――  志摩園子
はじめに/ヨーロッパ統合とバルト地域/バルト三国の安全保障――カリニングラードのゆくえ/下位地域協力の展開――カリニングラードとの共存/課題と展望

あとがき/ヨーロッパ統合関連年表
付1.EU加盟国の人口、GDP、一人当たりのGDP
付2.EU加盟申請諸国の人口、GDP、一人当たりのGDP
付3.ヨーロッパのマイノリティ
著者紹介

 


著者・内容紹介
宮島 喬 みやじま たかし
1940年生れ。立教大学社会学部教授。著書:『先進社会のジレンマ』(共著、有斐閣)、『ひとつのヨーロッパ、いくつものヨーロッパ』(東京大学出版会)、『文化的再生産の社会学』(藤原書店)、『ヨーロッパ社会の試練』(東京大学出版会)、『現代ヨーロッパ社会論―統合のなかの変容と葛藤』(編著、人文書院)など。

羽場久 はば くみこ
1952年生れ。法政大学社会学部教授。著訳書:『拡大するヨーロッパ―中欧の模索』(岩波書店)、『統合ヨーロッパの民族問題』(講談社現代新書)、『ハンガリー革命史研究―東欧におけるナショナリズムと社会主義』(勁草書房)、ロスチャイルド『現代東欧史―多様性への回帰』(共訳、共同通信社)など。

若林 広 わかばやし ひろむ
1951年生れ。東海大学教養学部国際学科教授。
若松邦弘 わかまつ くにひろ
1966年生れ。東京外国語大学外国語学部助教授。

稲葉奈々子 いなば ななこ
1968年生れ。茨城大学人文学部助教授。

原 聖 はら きよし
1953年生れ。女子美術大学芸術学部教授。

小森田秋夫 こもりだ あきお
1946年生れ。東京大学社会科学研究所教授。

柴 宣弘 しば のぶひろ
1946年生れ。東京大学大学院総合文化研究科教授。
志摩園子 しま そのこ
1955年生れ。東京成徳大学助教授。


これまで、冷戦期におけるヨーロッパの西と東の分断の結果、日本でも、一般に西欧と東欧はまったく別々に扱われてきた。冷戦の終焉以降、東西の「ヨーロッパ」の統一と多様性の見直しが進んでいる現状を鑑み、日本でもEUの統合と拡大の問題を、西と東の各地域・各民族の側から扱う必要があるのではないか。そうした観点から、本研究は、1999年春に西欧と東欧の研究者双方に声をかけてはじめられた。(あとがきより)

関連書(小社刊行書籍)
『現代ヨーロッパ社会論』 『ヨーロッパ統合と文化・民族問題』 『多文化主義・多言語主義の現在』 『アジアの多文化社会と国民国家』 『ラテンアメリカからの問いかけ』 『フランスの解体』
 


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